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ブックレビュー


塩野七生「海の都の物語」5、6

ついに最終巻!
一千年もの長寿を誇った共和国の終焉は、国民の変質や怠惰による自壊ではなく、目まぐるしく変わる外界の奔流に呑み込まれたことによるものでした。正直、コルシカ出身の野心剥き出し将軍が現れなければ、ヴェネツィアはもうちょっと長生きできたんじゃないかと思います。

ヴェネツィアの生み出した「共和制」の平均点は、すこぶる高い。恐らく、過去のどんな帝政の平均点をも凌駕するでしょう。しかし、たとえいっときであっても、権力・軍事力が一点に集まり、それを行使する者が野心と能力を兼ね備えた時、帝政のその力に対抗することはできなかったということなのだと思います。

それにしてもヴェネツィアの全体的な能力の高さには目を見張るものがありました。ただ、それゆえなのか……すべてがイコライズされたヴェネツィアの男たちは、みな「のっぺらぼう」のようで、個性的なキャラに欠けているようにも見えました。そういう書き方というだけでなく、それがヴェネツィアの本質だったのかな、と思います。彼らが求めるのは突出したヒーローではなかったのですから。

とはいえ、やはり読み物としては少し物足りなさが残りました。(苦笑)
ローマ人の物語は「人」に重点を置いているだけに、漠然とした「国」そのものを描くと、どうしても大味になるのは否めないかと。でもヴェネツィアという麗しく気高き生き物の生涯を知ることができてよかったと思います。



畠中恵「アイスクリン強し」

ついに電車内にハードカバーを持ち込んで読み終えました。家だと読んでいる時間がなくて、ますます溜まってしまうんですよね。
以下、かなり点数辛いのでお気をつけください。

明治23年、まだまだ文明開化も進行形の時代に西洋菓子屋を営む青年と、元旗本の若様連が織り成すドタバタ劇。
設定自体はなかなか珍しく、面白い試みだったと思います。が、いろいろ入れたいがためにどれも中途半端で設定倒れになっている気がしなくもないような……

そもそも明治も23年になっていれば、主人公たちはいわゆる「戦争を知らない子供たち」世代なんじゃないかと思いますが……。最後の士族の反乱、西南戦争は明治10年ですからね。実感として経験していない世代の若者たちが「江戸の頃は……」みたいに語るのは、どうも違和感がありました。半七翁じゃないんだからさ。

肝心の菓子屋も、サブタイにそれぞれ菓子を持ってきてはいるものの、菓子作りはほとんどしておらず、また翻弄されるばかりで、主人公の性格も考えも全然伝わってきませんでした。
友人の「若様組」たちも、元家臣を食わせなければいけないので常に金欠……って、地の文や会話だけで説明してしまっていて、その様子が伝わってこないし。「イケメンだけどキレるとヤバイ巡査」という設定なんかも、それが物語にまったく生かされていないし。主人公もピストルが得意だというなら、バンバン撃ったっていいんじゃないでしょうか。

まるで食い散らかした後のデザートのようで、大量の食べ残しと胸焼けだけが残ったような気分です。
ヒロインが主人公に惚れてるのも丸わかりで、だったら何か意外な展開なりエピソードなりがなければ、面白みがなくなってしまいます。
続編を視野に入れているがゆえの導入編なのかもしれませんが……それにしても全体的にキャラが薄い。そして主人公のタイプがいつも似たりよったりなのもどうなんだろう……と思ってしまいます。

しゃばけが面白いだけに、他の作品に対して点数が辛くなっているようにも思いますが、それにしてもしゃばけ以外の作品は、キャラがあまり立っていないのが気になります。基本的にみんな善人で毒気が少ないんですよね。

といいつつ、「こいしり」も本日読み終えました。レビューはまた後ほど……。
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コメント

コメントありがとうございます。
英雄的な生き方でないからこそこの国は長生きしたんだろうな~と改めて思いました。
自分的には読み物としての面白さではどうしてもローマ人に軍配が上がってしまうのですが、こちらも良書だと思います。

2009/12/06 (Sun) 21:54 | 遼 #XggCOD8. | URL | 編集
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2009/12/05 (Sat) 00:54 | # | | 編集

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