ブックレビュー


宇江佐真理「涙堂」

同心の夫が何者かに斬られ、死亡。しかしその死に疑問を持った妻・琴と息子たちが密かに真相を探り出す――という物語。
「卵のふわふわ」も「室の梅」も夫婦に焦点を当てた物語だっただけに、今回はちょっと違う感じがしました。単に夫が死んでいるから、というだけでなく・・・何というか、夫に対する想いがあまり伝わってこなかったような。(汗)
琴も日々の生活に追われてそれどころではないだろうし、そういう意味ではリアルな物語なのでしょうけど。
それと、ラストで誰かが死ぬというのもちょっとお約束なんじゃないかなあと。まだ3作しか読んでいないけれど、それぞれにかぶる部分がちょっと多い気がしてしまいます。
いっそお約束的な捕り物帖とかに移行すべきなんでしょうか。家族ものに弱い自分ですが、あまり続けて読まないほうが良いのかも。
ストーリー的には巧いと思うのですけどね。それだけに、夫に対して「陰謀で殺された人」という以上の情報が与えられていなかったのが残念です。



米村圭伍「エレキ源内 殺しからくり」

よ、米村さん・・・!?
と、思わず問いたくなってしまいました。どういうことですか、コレ。
以下、ややネタバレします。

まず源内を持ってくることから、あのからくりなラストは充分すぎるほど予想内です。あまりにお約束すぎませんか。
そして櫛の鍵は、おんみつ蜜姫ネタの使いまわし。
総髪の女武芸者は、蜜姫もそうですが、その性格づけおよび立ち位置は、紅無威おとめ組の使いまわし。
歌からヒントを得るネタは、退屈姫君の使いまわし。
何ていうか・・・全体的に雑すぎません? 手、抜いてますよね??

正直、この本を書いている時間をシリーズのほうにあててほしいと思いました。もったいないよ、時間と手間が。


今回はどちらもお江戸で、しかもどちらも既読作家だというのに、いまいち当たらなかったようで物足りません。

後者は図書館で借りてきたものですが、返しに行く時に予約していた「名画の言い分」を引き取ってくる予定です。
これはいいとして、小説で年の最後に気分よく読める本に出会いたいものです。

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