狐笛のかなた


上橋菜穂子「狐笛のかなた」

いろいろ本屋を回ってみても、なかなか置いていないと思っていたら。
何と、家から3分くらいの小さな本屋にありましたよ。盲点だった・・・!

というわけで、早速読んでしまったわけです。本当はゆっくり時間をかけるつもりだったのに。

舞台は、遠い昔の日本に似た国。
里にとけ込めずに暮らす、人にはない力を秘めた少女。
人知れず幽閉された、秘密を抱える少年。
少女を見守る、人ならぬ身の少年。

・・・ん? 何かどこかで聞いたような。

そう、思いっきり「空色勾玉」を髣髴させましたとも!

小夜=狭也
小春丸=稚羽矢
野火=鳥彦

↑こんな感じに脳内変換されていました。小春丸は途中から小倶那っぽいよなとか、どうでもいいことを加えつつ。

もちろん、こちらはこちらで充分面白かったのですけどね。
しかし、勾玉よりもボリュームが少ないだけに、やや物足りない部分も残ります。ストーリー自体はこれで良いと思うのですが、もうちょっと描写なり何なり増やしてくれないと、世界観がつかみきれないというか・・・。
荻原さんは相当に書き込んでいるし、そもそも神代をモデルにしているから、入りやすいんですよね。でも、上橋さんの方はオリジナルな世界なのだから、もっと加えてもいいんじゃないかなとも。

守り人にも、似たようなものを感じました。物語自体は充分面白い。けれども、何か足りない。たとえ児童文学であろうと、もうちょっと描写を増やしてくれれば嬉しいんだけどなあ。

とはいえハリポタみたいになると、今度はおもちゃ箱を引っくり返したような感じで、書き込みすぎに感じられてしまうのですが;
(というか、あの世界観は完全に切り貼りで目新しいものがあるわけではないのだから、あんなに詰め込まなくてもいいんじゃないかと・・・)
まあ、すでに5巻までを手放して、6巻は買っても読んでもいないのですけどね・・・。そのうち、古本屋に100円で大量に出回るだろうし。とはいえ、もはや世界の一般常識と化しているので、ネタバレ感想所かどこかでラストだけわかればいいや~という気もしています。

おっと、話が大いにずれてしまった。いや、世間でまた騒ぎ出したので、つい、ね。


ちなみに金原瑞人氏の解説によれば、「荻原規子、小野不由美、上橋菜穂子は和製ファンタジーにおける三羽鴉」なのだとか。まあ、他二人も充分なじみがあるので、比較は容易ですが・・・荻原さんは叙情的、小野さんは合理的、上橋さんは直線的ではないかなと。
情や理に訴える前者二名は、そのためにそれぞれ筆を尽くす。けれども、上橋さんは枝葉末節を全部削り落として、最も訴えたい「物語」を、ほとんど粗筋くらいにして呈示しているような気がします。
ちなみに、ゲド戦記を読んでいてもそんな感触を覚えました。ル・グィン、他に読んでいないのですが、そんな感じなのかな。

とはいえ、一気読みするほどの力を持った作品であろうと思います。
勾玉好き、特に空色勾玉、そして鳥彦がお好きな方は是非。(笑)

なお、今は「夢の守り人」が文庫落ちするのを気長に待つつもりです。

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