紀文大尽舞


米村圭伍「紀文大尽舞」

現在、絶賛積読消化期間です。というわけで、今回はこの作品。米村作品、刊行分の文庫はこれで全部読んだことになります。あと単行本で出ている「影法師夢幻」と「紅無威おとめ組 かるわざ小蝶」は未読・・・早く文庫に落ちてくれないかな。
さてこの紀文ですが、退屈姫君よりもいっそう実在人物が多出します。それだけに、歴史の「しばり」の中でどこまで自由闊達に筆を動かすか、が見どころになると思います。他の文庫作品よりも長くなったのも、その辺りに理由があったのではないでしょうか。
蜜柑大尽として有名な豪商・紀伊国屋文左衛門。その出世譚を面白おかしく書いてやろうと考えた戯作者志望・お夢は紀文をつけ回し・・・そして幕府を揺るがす陰謀に巻き込まれてゆく。
というのが、大雑把なあらすじです。下町っ子のめだか姫、といったところでしょうか。主人公がさっぱりしているので、とても読みやすいです。

倉地とかむささびとか、他作品の読者なら思わずニヤリとしてしまう名前にも遭遇します。名を訊かれて、「くら・・・」と言いかけた瞬間、キターーー! と思わず笑いが出そうでした。でもご先祖の方が、子孫の旦那よりももうちょっとしっかりしているような気もします。あの旦那はどうも優柔不断ですからね・・・。
個人的には、むささびが大変ツボでした。草の者が結構好きだったんだな、自分。(笑)

ただ気になったのは・・・やはり結びでしょうか。踊らせていたのが実は○○でした、というオチなら、じゃあ何で冒頭からお夢が殺されかけたのか? とか、やや釈然としないものが残ります。それに、むささびを行かせたのもちょっと後味が悪いかなと。
これまで読んだ作品では、「面影小町伝」よりは上だけど「風流冷飯伝」までは行かないかも。やはり一番面白いのは、退屈姫君シリーズです。(まあ、それゆえに面影小町はどうしても受け入れがたいんですけどね)

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