すべての道はローマに通ず/となり町戦争

ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉 ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉
塩野七生「ローマ人の物語」27、28

「すべての道はローマに通ず」の文庫版。物凄く時間がかかりましたが、ようやく読み終えました。単に細切れ読みをしていて、まとまった時間がなかなか取れなかったからなんですが。
この巻は、本編からは少し離れて古代ローマのインフラについて丸ごと扱っています。

第一部は、「ハードなインフラ」として街道と水道。第二部は、「ソフトなインフラ」として医療と教育。
インフラだけをここまで取り扱っている本、しかも専門書ではなく一般向けに書かれているものは滅多にないでしょうね。自分は政治史ももちろん好きですが、文化史にも興味ありますので、かなり楽しめました。文化史の好きな人にはお勧めです。逆に言うと、有名人物の生涯とか政治闘争とか戦争とかはまったく出てこないので、興味のない人にはかなり退屈であるかと思います。文化史好きなら、むしろこの巻だけ読んでも楽しめるのではないかと。

ハードなインフラでは、水道事業の意外な話が多く読めて面白かったです。それにしても、この時代にここまで上下水道が完備されていたというのは驚愕ですね。
なお、現在「イタリアからの手紙」を読んでいるのですが、この中で、古代ローマ時代以来2000年も下水道掃除をしたことがないと書かれていて、また別の意味で驚愕でした。そりゃ鼠も蚊も大発生するよ。古代ローマを見習って掃除くらいしてくれよ。(汗)
また、「イタリアからの手紙」の中で、「古代ローマ文明を、技術面から研究したり書いたりしてくれる人は出ないものかなあと思う」とも書かれており、それを自分でやってしまったんだなあと思うと感心してしまいます。ちなみに同書が発行されたのは1972年。「すべての道は~」が発行されたのは2001年。29年後に自ら実行してしまったのですね。

さて本編のほうも気がかりですが、文庫はここまで。また秋まで待たねばならないようです。

となり町戦争
三崎亜記「となり町戦争」

ある日、戦争が始まる。いつの間にか、知らないうちに、のんびりと見えるこの町と、となりの町で。
戦争のお知らせが広報で届いたり、突然スパイに任命されたり、むちゃくちゃだけれども意外性を狙いまくった設定は、かなり面白いと思いました。
が!
その設定を物語にまで昇華させるには、まだまだ力量不足なのではないかとも思えてしまいます。人間が描けていない。そしてオチが納得しがたい。
着想は良いんだけどなあ。まあ、最近の小説にはありがちですね、人が書けてないってのは。

荒唐無稽なアイディアとか、ちょっとヒッキーっぽい風貌とかが、どことなく乙一に似ている気もするのですが、物語の上手さは乙一の方が上かなと。まあ、彼も初期作品ではまだまだだったので、この先成長するかどうかはわかりませんが。
しかしデビュー作からいきなり映画化とかしちゃうと、伸びなくなるかもしれない。それが問題だ。

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