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夜のピクニック

(下の記事から続きます)
夜のピクニック
次は「夜のピクニック」。
もう、これはずっと読みたい読みたいと言いつつ、長いこと手を伸ばせずにいた1冊だったのです。何しろ単行本はかさばって置き場がないので、なるべく買わないようにしているため、図書館に行く(そして読んで返す)暇がないと読めないんですよね。いや、今も時間はないはずなのですが、ついに決壊水域を越えたというか何というか。
とにかく読みました。そして。

恩田さん! さすが恩田さんです!! と快哉を叫びたい気分でいっぱいです。
朝の8時から翌朝の8時まで、ただひたすら歩き続けるという、北高の名物「歩行祭」。この物語は、その歩行祭の様子が延々と描かれてゆきます。
普通なら、ただ歩くだけの物語では起伏もなく、読者を引きつけ続けることなど不可能でしょう。しかし恩田さんは相変わらず言葉の魔術師です。あの柔らかな筆致に触れているだけで、まったく飽きません。結局、一気に読破してしまいました。

もう二度と戻れないあの時代を髣髴とさせ、懐かしさに胸がいっぱいになります。
当時は「今」なんてさして大事だとも思えなかったのだけど、後になってから懐かしがるなんて皮肉ですね。
未来のためにばかり「今」を生き急ぐ融も、苦い痛みを溜め続けてきた貴子も、卒業間近に大切な「今」を手に入れられて本当に良かったと思いました。

また、回想シーン以外には一切出てこない杏奈の存在も、なかなか興味深かったです。舞台に姿を現さずに人物像を描き出すというのも、恩田さんの得意技ですよね。
読後感は実に爽やか。久々にじーんと来てしまいました。
そして「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」W受賞おめでとうございます!


というわけで、今回の2冊は本当に読んだ甲斐がありました。
近頃、お金を出して買った本に、別の意味で切なさばかり覚えていたので、何とかすっきりできました。
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琥珀枕

図書館の返却期限が迫ってきたので、先日借りた2冊を慌てて読み終えた次第です。
今回の読了本は、森福都「琥珀枕」(光文社)と恩田陸「夜のピクニック」(新潮社)。
先に結論を言いますと、「多忙な時間を割いてでも読んで良かった!」の一言に尽きます。


まずは「琥珀枕」。
中国を舞台にした連作式ミステリー。これは森福さんのいつもの形式ですが、今回は妖異譚がかなり多かったです。何しろ(一応)主人公の昭之が師事しているのは、何百年も生きているすっぽんの妖怪なのですから。

しかし初めの数本はやや平坦で、いま一つな感じがしました。昭之の出番も見せ場も特になく、彼自身もおとなしい子なので、短編ではどうにも魅力が感じられなかったのです。
が、筆が乗ってきたなと感じられるようになったのは「妬忌津」あたりから。美女を水中に引きずり込む妖怪の腕、というのはありがちな妖異譚ですが、それをうまく料理できていると思いました。

全7本の短編の中でも「双犀犬」は特に秀逸。あまりぱっとしない感じの昭之にしては、両親はどちらもかなり個性が強いですね。
そして最終話の「明鏡井」はミステリ色よりも、最後の最後にストンと落ちるところで、「やられた!」と思いました。妙に色のない昭之も、ちゃんと成長しているんだと感じさせられる一編。
なお、すっぽんと蛟の二妖怪大決戦には、妙に笑いがこみ上げてきてしまいました。
いや、これは個人的な理由によるものなのですが。(汗)

総評としては、前作の「十八面の骰子」に軍配が上がるものの、これはこれで楽しめました。でも次はもっとミステリ色の強いものが読みたいなとも思いつつ。


「夜のピクニック」レビューは次の記事に続きます。
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